NISA口座の相続手続き|死亡後の非課税・取得価額・税金【2026年版】

NISA基礎知識

最終更新日:2026年10月4日

NISA口座の名義人が亡くなると、NISA口座そのものを家族が引き継ぐことはできません。一方、口座内の株式・投資信託は相続財産として引き継げます。相続人のNISA口座ではなく、特定口座または一般口座へ移管するのが基本です。

今回の確認範囲:2026年10月4日に、死亡時の届出、NISAの非課税終了時点、相続後の取得価額、相続税評価、配当等の扱い、証券会社の相続手続きを国税庁・日本証券業協会・証券会社の公式情報で確認しました。必要書類や移管方法は、金融機関と相続内容で異なります。

広告・PR:この記事にはアフィリエイト広告を含みます。掲載内容は広告報酬だけで決めていません。個別の相続税評価・申告は税務署または税理士へ確認してください。

先に結論

  • NISA口座は相続できないが、保有商品は相続できる
  • 相続人のNISA口座へ直接移管することはできない
  • 相続人は「非課税口座開設者死亡届出書」を遅滞なく提出する
  • 相続後の売却用の取得価額と、相続税評価額は計算目的が違う
  • 死亡後から届出までの配当等は遡って課税される

NISA口座の名義人が亡くなった後の扱い

NISAは名義人本人の非課税口座です。名義人が死亡した場合、その日にNISA口座から上場株式等が払い出されたものとして扱われます。相続人が、亡くなった人のNISA口座や未使用枠を引き継ぐ制度ではありません。

NISA口座と保有商品を分けて考える

対象 死亡後の扱い
NISA口座 名義人本人の制度のため、相続人は引き継げない
NISA口座内の株式・投資信託 相続財産として相続人・受遺者が引き継げる
相続人のNISA口座 相続した商品を直接受け入れることはできない
相続人の課税口座 金融機関の手続きに従い、特定口座または一般口座へ移管

相続人が自分のNISA口座を持っていても、相続した商品をそのままNISAへ移すことはできません。NISAに受け入れられるのは、原則としてNISA口座で新たに買い付けた対象商品です。

死亡日以後の非課税は続かない

日本証券業協会は、被相続人が死亡した日から「非課税口座開設者死亡届出書」の提出までにNISA口座で支払われた配当金等について、遡って課税されると案内しています。死亡後も画面上でNISA残高に見えていることだけを理由に、非課税が続くとは判断できません。

NISA相続手続きの順番

1. NISA口座がある金融機関へ連絡する

相続人は、死亡を知った日以後遅滞なく、NISA口座が開設されている金融機関へ「非課税口座開設者死亡届出書」を提出します。現在利用中の金融機関だけでなく、過去年分のNISA口座を別の金融機関で開設していた場合は、国税庁の案内に従い、該当するすべての金融機関を確認します。

2. 残高と口座区分を確認する

NISAのつみたて投資枠・成長投資枠、旧一般NISA、旧つみたてNISA、ジュニアNISA、特定口座、一般口座、預り金を分けて確認します。同じ金融機関でも商品別に口座や手続きが分かれる場合があります。

3. 相続人と取得者を確定する

遺言書の有無、法定相続人、遺産分割協議の内容を確認します。証券会社が案内する相続手続き依頼書、戸籍関係書類、印鑑登録証明書、遺言書・遺産分割協議書などを準備します。必要書類、発行期限、原本・コピーの可否は金融機関と相続内容で異なります。

4. 相続人の移管先口座を準備する

相続した商品は相続人のNISA口座ではなく、特定口座または一般口座へ移管します。移管先の金融機関、対象商品、相続人が口座を保有しているかによって手続きが異なるため、売却・換金を急ぐ前に被相続人の金融機関へ確認してください。

5. 残高証明書と取得価額資料を保存する

死亡日等を指定した残高証明書、相続による移管通知、取得価額、移管日、数量、銘柄を保存します。相続税申告と、その後の商品売却による所得税計算では確認する価額が異なるため、どの目的の資料かを分けて保管します。

相続手続きと通常のNISA申込を分けて確認

相続財産はNISAへ直接移管できません。相続手続きは被相続人の金融機関へ連絡してください。

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相続後に売却するときの取得価額

国税庁は、NISA口座から相続・遺贈により払い出された上場株式等について、原則として相続開始日の終値に相当する金額で相続人・受遺者が取得したものとみなすと案内しています。

たとえば、被相続人がNISAで100万円で購入した株式が、相続開始日の終値で160万円だった場合、相続人の譲渡所得計算上の取得価額は原則160万円相当です。その後180万円で売却すれば、手数料等を考慮する前の差額は20万円です。被相続人のNISA保有中に増えた60万円を、相続人の売却益として再度計算するものではありません。

値下がりしていた場合も相続開始日の価額が基準

被相続人が100万円で購入し、相続開始日の終値が70万円だった場合、相続人の取得価額は原則70万円相当です。その後90万円で売却すれば、手数料等を考慮する前の差額は20万円です。被相続人の購入額100万円を相続人がそのまま引き継ぐ計算ではありません。

取得価額と移管日を証券会社の通知で確認する

相続開始日に終値がない場合や、投資信託・外国株・複数市場上場銘柄などは確認方法が異なることがあります。証券会社から交付される移管書類、取引残高報告書、取得価額の表示を確認し、不明な場合は金融機関へ問い合わせます。

相続税評価額は「死亡日の時価」だけではない

NISA口座内の有価証券も、相続税の対象となる財産です。ただし、相続税の評価方法と、相続後に売却するときの取得価額は同じとは限りません。

上場株式の相続税評価

国税庁は、上場株式を原則として相続開始日の最終価格で評価するとしつつ、その価格が次の3つの月平均額のうち最も低い価額を超える場合は、その低い価額で評価できると案内しています。

  • 相続開始日の属する月の毎日の最終価格の月平均額
  • 相続開始日の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額
  • 相続開始日の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額

相続開始日に終値がない場合や権利落ち等がある場合には調整があります。上場株式と投資信託では評価方法が異なるため、商品ごとに確認してください。

投資信託の相続税評価

証券投資信託は、原則として相続開始日に解約請求または買取請求をした場合に受け取れる価額を基に評価します。基準価額、口数、未収分配金、源泉税相当額、信託財産留保額、解約手数料などを用いる場合があります。上場ETF等は上場株式の評価に準じます。

相続税の申告要否は遺産全体で判断

相続税の基礎控除は、原則として「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。NISA資産だけで基礎控除と比較せず、預貯金、不動産、課税口座の有価証券、みなし相続財産、債務などを含めて確認します。特例の適用や過去の贈与により申告要否が変わることがあります。

死亡後の配当・分配金・売却益

死亡日から死亡届出書の提出までにNISA口座で配当金等が支払われた場合、その非課税は遡って取り消され、課税されます。届出が遅れるほど非課税が延長されるわけではありません。

相続手続き完了後、特定口座または一般口座へ移管された商品から生じる配当・分配金や売却益は、通常の課税口座のルールに従います。特定口座で源泉徴収あり・なしのどちらになるか、外国税、損益通算、確定申告は商品と口座区分で確認してください。

相続人のNISA枠はどうなるか

相続した商品を課税口座へ受け入れても、相続人自身のNISA年間投資枠や非課税保有限度額へ直接算入されるものではありません。一方、その商品を売却し、同じ銘柄を相続人のNISA口座で買い直す場合は、新しい買付けとして相続人自身の年間投資枠・非課税保有限度額を使います。

売却と買い直しの間には価格変動があり、売買手数料、為替手数料、税金が発生する場合があります。「相続したらすぐNISAで買い直す」と一律に決めず、資産配分、生活資金、納税資金、相続人の投資方針を確認してください。

生前に整理しておくこと

金融機関と口座の一覧を残す

証券会社・銀行名、NISAを開設した年、口座番号を家族が確認できる形で一覧にします。ログインパスワードや取引暗証番号を家族が使って売買することは避け、死亡後は金融機関の相続窓口へ連絡します。

残高と取得資料を保存する

取引残高報告書、年間取引報告書、NISAの保有商品一覧、配当金受取方法を定期的に保存します。銘柄ごとの数量と口座区分が分かれば、金融機関への照会と遺産分割の確認が進めやすくなります。

生前贈与と家族のNISAを混同しない

家族がそれぞれ自分の資金でNISAを利用することと、親などが資金を渡して家族のNISAで購入することは別です。資金を渡せば贈与税の検討が必要で、NISAに入れたこと自体で贈与税が非課税になる制度ではありません。

暦年課税の基礎控除110万円は、受贈者がその年に受けた贈与の合計で判断します。相続開始前の贈与が相続税の課税価格へ加算される制度もあるため、「毎年110万円なら相続対策になる」と一律に扱わず、国税庁や税理士へ確認してください。

遺産分割は商品の値動きも考慮する

株式や投資信託は、死亡日から分割・移管完了まで価格が変動します。残高証明書の価額と実際の移管・売却時の価額が異なる場合があります。誰がどの商品を取得するか、換金するか、納税資金をどう準備するかを他の財産と合わせて整理します。

金融機関へ連絡する前に整理する情報

最初の連絡では、亡くなった人の氏名・生年月日・住所・死亡日、連絡する人の氏名と続柄、分かる範囲の口座番号を手元に置きます。相続人がまだ確定していない段階でも、まず死亡の事実と今後の案内方法を金融機関へ確認します。通常の問い合わせ窓口と相続専用窓口が分かれている場合があるため、公式サイトに記載された連絡先を利用してください。

口座残高を家族が把握していても、名義人のIDやパスワードを使ってログインし、売却や出金を進めるのは避けます。死亡後の取引は遺産分割や税務資料に影響する可能性があります。金融機関の案内に沿って取引を停止し、正式な相続手続きに切り替えます。

書類名だけでなく「誰の・いつの書類か」を確認する

戸籍関係書類、印鑑登録証明書、本人確認書類などは、相続の状況や金融機関により必要な範囲と有効期限が異なります。遺言書がある場合、遺産分割協議を行う場合、複数の相続人がいる場合でも提出物は変わります。先に一般的な書類を大量に取得するのではなく、金融機関から届く案内で必要部数、発行日、原本還付の可否を確認すると重複を減らせます。

複数の金融機関へ提出する場合は、どこへ何を提出したかを一覧にします。返却予定の原本、受付日、担当窓口、追加書類、手続き完了予定を記録しておくと、未処理の口座を見落としにくくなります。

移管後に確認する項目

相続人の課税口座へ商品が移ったら、銘柄名、数量、口座区分、取得価額、移管日を証券会社の画面や書面で照合します。端数や単元未満株、取扱いのない投資信託、外国株などは、そのまま移管できず換金等の別手続きになる場合があります。配当金や分配金が死亡後に支払われていた場合は、支払日と課税処理も確認します。

相続税申告が必要な場合、申告期限は原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。証券口座の手続き完了を待ってから税務確認を始めると時間が不足することがあります。遺産全体の把握、評価資料の取得、遺産分割、納税資金の準備を並行して進め、判断が難しい場合は早めに税務署または税理士へ相談してください。

相続手続きチェックリスト

  1. 亡くなった人が利用していたすべての金融機関を確認する
  2. 金融機関の相続窓口へ連絡し、取引を止めて必要書類を取り寄せる
  3. 「非課税口座開設者死亡届出書」を遅滞なく提出する
  4. NISA・特定・一般・旧NISA等の口座区分ごとに残高を確認する
  5. 遺言書、戸籍、相続人、遺産分割の内容を確認する
  6. 相続人の特定口座または一般口座を準備する
  7. 残高証明書、取得価額、移管日、数量、配当等の資料を保存する
  8. 相続税評価と売却時の取得価額を分けて確認する
  9. 遺産全体で相続税の申告要否を確認する

よくある質問

Q. NISA口座そのものを相続できますか?

A. できません。口座内の商品は相続できますが、相続人の特定口座または一般口座へ移管するのが基本です。

Q. 相続した商品を相続人のNISAへ移せますか?

A. 直接移管できません。相続人のNISAで保有したい場合は、課税口座の商品を売却し、相続人自身のNISA枠で新たに買い付ける方法を検討します。

Q. NISAの非課税は死亡後も続きますか?

A. 続きません。死亡日から届出までに支払われた配当金等は遡って課税されます。

Q. 相続後の取得価額はいくらですか?

A. NISAから相続で払い出された上場株式等は、原則として相続開始日の終値相当額で取得したものとみなされます。商品・市場による扱いを金融機関で確認してください。

Q. 相続税評価も相続開始日の終値ですか?

A. 上場株式では相続開始日の終値に加え、当月・前月・前々月の月平均額を使える場合があります。投資信託には別の評価方法があります。

Q. 家族へ110万円を渡してNISAで運用すれば非課税ですか?

A. NISAは運用益の制度で、資金贈与を非課税にする制度ではありません。年間の他の贈与や相続税への加算も含め、贈与税を確認してください。

出典・参考資料

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続・税務・投資判断に関する助言ではありません。商品、口座区分、家族関係、遺言、遺産分割により手続きは異なります。金融機関、税務署、税理士等へ最新情報をご確認ください。

執筆・監修:NISA比較ナビ編集部

本記事は、金融庁・国税庁・各社公式サイト等の一次情報をもとに、NISA比較ナビ編集部が中立的な立場で作成しています。特定の金融商品を推奨するものではありません。

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