老後のお金を準備する制度として「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と「企業型DC(企業型確定拠出年金)」があります。どちらも税制優遇が大きな魅力ですが、違いをよく理解しないまま使っている人も多いです。
この記事では、会社員が知っておくべきiDeCoと企業型DCの違い、使い方、NISAとの組み合わせ方を解説します。
iDeCoと企業型DCの基本的な違い
| 項目 | iDeCo(個人型DC) | 企業型DC |
|---|---|---|
| 運営主体 | 個人が自分で加入 | 会社が導入する制度 |
| 掛金の負担 | 自分で拠出 | 会社が拠出(マッチング拠出可) |
| 加入条件 | 20〜65歳未満の公的年金加入者 | 会社が企業型DCを導入している場合のみ |
| 掛金上限(会社員) | 月2万円(企業型DC加入者は1.2万円) | 月5.5万円(他の企業年金がある場合は2.75万円) |
| 商品ラインナップ | 自分で金融機関・商品を選べる | 会社が選んだ商品から選択 |
| 手数料 | 自分で金融機関を選ぶため差がある | 会社が負担することが多い |
共通のメリット:強力な税制優遇
iDeCoも企業型DCも、以下の税制優遇が共通して受けられます。
- 掛金が全額所得控除:拠出した掛金が所得から控除され、所得税・住民税が軽減される
- 運用益が非課税:NISAと同様、運用中の利益に税金がかからない
- 受取時の控除:一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除が使える
特に①の所得控除はNISAにはないメリットで、収入が高い人ほど節税効果が大きくなります。
企業型DCがある会社に勤めている場合
会社が企業型DCを導入している場合は、まず企業型DCを最大限活用するのが基本です。理由は会社が掛金を出してくれるからです。いわば会社からのボーナスのような制度です。
マッチング拠出とは
企業型DCには「マッチング拠出」という制度があります。会社の掛金に上乗せして、自分でも追加の掛金を拠出できる仕組みです。マッチング拠出も全額所得控除の対象になります。
企業型DCとiDeCoの併用
2022年10月の制度改正により、企業型DC加入者もiDeCoに加入しやすくなりました。ただし掛金の上限に注意が必要です。
- 企業型DCのみ加入中 → iDeCoは月1.2万円まで
- 確定給付年金(DB)や公務員共済も併用 → iDeCoは月1.2万円まで
iDeCoの方が向いているケース
会社に企業型DCがない場合はiDeCoが主力の選択肢になります。また、転職が多い人にもiDeCoは向いています。企業型DCは転職先に制度がない場合、iDeCoに移換(ポータビリティ)できます。
iDeCoの始め方・口座開設方法は別記事で詳しく解説しています。
iDeCo・企業型DCとNISAの使い分け
iDeCo・企業型DCとNISAは目的と使い方が異なります。
| 項目 | iDeCo / 企業型DC | NISA |
|---|---|---|
| 目的 | 老後資金の形成 | 自由な資産形成 |
| 引き出し | 原則60歳まで不可 | いつでも可能 |
| 税制優遇 | 掛金控除+運用益非課税 | 運用益非課税 |
| 向いている資金 | 老後まで絶対使わないお金 | 将来使うかもしれないお金 |
基本的な優先順位は以下の通りです。
- 企業型DCのマッチング拠出(会社がお金を出してくれる分は最優先)
- NISAで積立投資(流動性が高く使い勝手がよい)
- iDeCoで追加拠出(節税効果が高い人は積極活用)
iDeCoの注意点
- 60歳まで引き出せない:老後資金と割り切れる人向け
- 受取時に課税される:退職所得控除・公的年金等控除を超えると課税される場合がある
- 口座管理手数料がかかる:金融機関によって月170〜数百円の手数料がかかる(SBI証券・楽天証券は低コスト)
まとめ
- 企業型DCは会社が掛金を出してくれる制度→まず最優先で活用する
- iDeCoは個人が自分で加入する制度→節税効果が高く、企業型DCがない人の主力
- 両者ともにNISAと併用することで老後資産をより効率的に形成できる
- 引き出し制限があるため「老後まで使わないお金」として位置づけることが重要
よくある質問
Q. 企業型DCとiDeCoは同時に使えますか?
はい、2022年10月から企業型DCに加入していてもiDeCoに加入できるようになりました。ただし掛金上限は「企業型DCの事業主掛金+iDeCo掛金≦月5.5万円(DB等がある場合は2.75万円)」かつiDeCoの上限は月1.2万円になります。会社のDC規約で確認が必要です。
Q. 転職したとき企業型DCはどうなりますか?
転職先にも企業型DCがあれば移換できます。転職先に企業型DCがない場合はiDeCoに移換(ポータビリティ)できます。放置すると「自動移換」され、国民年金基金連合会に強制的に移されて運用が停止し、手数料だけ取られるため、速やかに手続きすることが重要です。
Q. iDeCoとNISAはどちらを優先すべきですか?
まずNISAを優先するのが基本です。理由はNISAはいつでも引き出せる流動性があるためです。その上で余裕があれば、所得税率が高い人(年収600万円以上など)はiDeCoの節税効果が大きいため積極的に活用する価値があります。
Q. 自営業・フリーランスはiDeCoに加入できますか?
はい、加入できます。自営業・フリーランスの場合はiDeCoの掛金上限が月6.8万円と会社員より高く設定されています。国民年金の第1号被保険者に該当する方が対象です。



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